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千両寿司(伊勢原望郷編)
約25年ぶりに「ただいま!!」と引き戸を開けましたら、そこには懐かしい親父さんと奥さんが、「ちょこん」といらっしゃいました。
時の移ろいは残酷なもので、小生も親父さんやお母さんまで老け込ませやがります。 しかしながら乱入したら当然のように、大学時代にいっつも注文していました赤貝とホタテ貝のお刺身「紅白」(その昔、赤貝とホタテ貝を併せまして小生は「紅白」と呼んでおりました。w)とヒモを注文しました。 お邪魔した日は案外寒かったので、伊勢原市の地酒「菊勇」の超熱燗120度(ありえませんけどかなりの熱燗を指します。これも学生時代に「超熱燗」をそう呼んでおりました。w)も当然のように注文いたしました。
刺身の盛り合わせ、中トロと赤貝ホタテの刺身を待ちながら地酒「菊勇」の熱燗を飲んでいましたところ、どうも親父さんの右手が学生時代の頃よりもおぼつかないことに気がつきました。 そこはそれ、町医者を小生も四半世紀以上やっているので「身体をこわされたのかなぁ〜?」と察しがつきました。奥さんに「親父さんの右手ちょっとおかしいんだけどどうかしたの?」と聞きましたところ、奥さんが「14年前にうちの旦那は脳梗塞を起こしちゃったんだよ。病院の先生はもう包丁を持つことができない。」って言ったんだけど、「あたしゃね、心を鬼にして、旦那にもう一度包丁持ってもらおうと思い、右手に包丁をくくりつけてリハビリをしてもらったんだよ。あの頃は本当にきつかった」と泪ながらに小生に語ってくれました。 そんな話を聞いたら、もういけません。ちょうどお客様は小生1人だったんで思わず目頭が熱くなりまして泣きが入りました。お酒の味なのか刺身の味なのか泪の味なのか、全くわからない感覚に陥りまして、「一体、小生は何を食べているのか?何を呑んでいるのか?」分からなくなっていました。 病院の先生に利き腕の右手が持てないって言われたのによくぞそこまでリハビリされた!!と感動している小生ががおりました。 改めて、千両寿司の親父さんと奥さんの「夫婦愛」を感じることができ、もうそれだけで充分でした。
ちょうどその頃、ヨメとまた別のお客さんが千両寿司入ってこられましたので小生の見苦しいところは見せられませんでした良かったです。w こうなってきますと、単にお寿司屋さんにの域を超えております。 小生にとってはこれ以上ない、「魂の触れ合い」が確認出来る場所なのであります。
時間というものは人間に厳しい試練も与えると思いますが「愛」を育んでに魂を成長させる人生にとってって貴重なスパイスではないでしょうか? 確かにお奥さんも「あいたたた!腰が痛い!!」と言ってらっしゃいましたがお客さん必要なものを買って来てくれるので、それはそれでいいと思います。 今回の千両寿司の訪れは味が全くわからなかったので、また近いうちに乱入したいと思います。 再訪で小生にとって、千両寿司の親父さんと奥さんは特別な存在になりました。
写真は若かりし頃の親父さんと柔道の山下選手です。まるで想い出のフォトグラフでした。w
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